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あえてのハズシ技

2023.02.24

先日、面白い記事を見つけたので私なりに解釈しご紹介しようと思います。

 

それは少しづつ紹介したら面白いのではないかなと思い、ドレスアイテムによる「コーディネートのハズシ技」について文字に起こしている時でした。

自分が思い、書いているにもかかわらず何とも言えない違和感が・・・
ただ単に取り入れたからと言ってそれだけでこなれて見えるのか。果たしてオシャレなのか。

「ハズシ技」とは付け焼刃ではなく、しっかりとした知識を持ち幾度となく検証を重ねたセンスを用い完成する「あえてのハズシ技」に過ぎないのではないか。という事。

「ハズシ技」を考えているとその一つ一つがアイテムやファッションさらにはその洋服のルーツに関わってくるポイントが多い。
例えばデニムパンツは作業着として使われていたとか、ポロシャツはかつてテニス用ウェアだったとかそのアイテム元々の使われ方を鑑みて、デニムパンツとワークブーツはコーディネートとして最適だとか、スーツにポロシャツは不適切だとか。今となってはデニムでもいろいろな種類がありポロシャツだって上質なニットで作られているものだってある。
ただ、どのアイテムも時がたつにつれ進化しその意味とは違う使われ方をしているというのも面白い。

とかく「紳士服」においては100年以上もの間着方はほとんど変わっておらず、「男性にとってスーツは依然(ビジネスやフォーマルのシーンで通用する)キチンとした洋服である」ことに変わりがなく、スーツのTPOはジーンズやポロシャツほど激しく変化していないとも言えます。

ビジネスやフォーマルシーンでは着用・使用できるアイテムも限られ”シャツ”、”ネクタイ”、”ポケットチーフ”、”靴下”、”レザーシューズ”など限られたアイテムの中で色、柄、素材を中心としたコーディネートが重要で、セオリーというものも存在しているが、同時に対極にある「ハズシ技」も同時に存在し生まれるという事になる。
「ウールのスーツを着ているのに、靴下を履かない」とか「ネクタイをしているのにスニーカーを履く」というのは、靴下を忘れたわけでも、革靴を持っていないわけでもなく「あえて合わせずハズす。」という意味合いが大きい。

「ハズシ技」を覚えるとコーディネートは俄然楽しく、自由度も上がる。
しかし、ファッションは引き算を意識しなければゴテゴテのやりすぎにしかならないという事も忘れてはいけない。

ショップ勤務時代、ハズそうと思ってワザとやってるんだけど的がハズレてハズしになっていなかったり、ハズせないのは基本が分かっていないからなのかと、いまいち枠からはみ出せない歯がゆい時代があったのを思い出しました。
基本があっての応用。

「ハズシ道」は、そもそもいばらの道で、すんなり物にできるものではないのです。

それでも身に着けたい方に意識してもらいたいのが、「どれくらいハズすか」という事。
最初にご紹介しようと考えていたテクニックとして「奥義!小剣ずらし」(笑)になぞらえてご説明を。

tieネクタイの大剣と小剣を少しネジリ、結び目下でずらすテクニック。

 

先ずはネクタイの起源から説明しなければなりません。
「一般的なネクタイ」と呼ばれるものの原型は17世紀ごろとされ、ルイ13世を守るためクロアチアの兵士がフランスを訪れた際、彼らが首に巻いていたスカーフが起源と言われております。*詳しくは(BLOG: ネクタイの種類)で記事にしていますので興味があればご覧ください。

その軽くふんわりとした印象をネクタイで表現する方法として「小剣ずらし」がテクニックとして出てきたという事なのです。
動きやこなれ感を加える比較的軽めなテクニックではありますが、合わせるスーツによってただの「だらしない」だけの見た目となってしまうのですが、このテクニックに最適なスーツとは・・・

まさに「Biancco」のスーツのような柔らかく軽快なスーツ。
マニカカミーチャのオプションやハンドステッチ等手作り感ある曲線を意識したスーツにセッテピエゲ(七つ折)のふんわりとしたボリュームのあるネクタイを合わせ、さらに芯の薄い又は全くないソフトな芯地のシャツで合わせてこそ、この奥義でもある「ハズシ技」が効いてくるのです。

逆に堅い表地・芯地、直線的なカットの英国スーツでやろうとするとなかなかレベルが高く合わせるのに相当な技が必要になります。
英国スーツであっても手作業の雰囲気も、もちろんありますが鎧の様に堅いスーツ、シャツの様に軽いニュアンスのスーツは、近くて遠い存在で、冒頭に意識してもらいたい項目として挙げた「どれくらいハズすか」から考えてもかなりハズれたテクニックと言えそうです。

「ハズシを失敗にしない」ためにも、この手のスーツにはしっかりとウエイトのあるシルクタイを剣先をそろえ、小さなノットで結ぶ方がセオリーにかなっている。小剣をずらすどころか、ディンプルすら入れずに素っ気ないノットで仕上げる方がむしろ潔いかもしれません。

決して「ハズれた」テクニックが悪いという事ではなく、真逆のもの同士だからこそ釣り合いが取れてしまうコーディネートもあり、女性が花柄のワンピースにレザーライダースを羽織ったり、男性に置き換えるとブレザーやタキシード(ディナージャケット)にジーンズを合わせるということなど。
今考えてみるとそれほどハズれたテクニックではありません。
英国のユニフォームやイブニングのフォーマルアイテムにアメリカ生まれワークウェア由来のデニムパンツを合わせる”ハズれた”テクニックは一周してマッチしている例もあります。

読んだ記事はまだまだ深く書かれており、普通に合わせれば間違いないのになぜ「あえてのハズシ技」を使おうとし、テクニックとして認知されているのか。
「普通じゃつまらないから(普通はつまらないのか?)」「お洒落に見せたいから(ハズシはお洒落なのか?)」という自問自答を繰り返すことで、ぼんやりとしていたものが見えてくるというような内容でした。

結論、どのように装いたいのかという自らの意思の所在で幾度とない自問自答の末、鍛え抜かれたその意思こそが「ハズシ技」を単なるテクニックとして留まらない「自分スタイル」となり「ハズシ技」として完成するという事なので、ただ単にハズすだけではそれはハズシではなくハズレなので単に大きなズレとなってしまうのです。

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