Biancco札幌のオーダースーツ
2021.05.31
2021.05.31
オーダースーツであってもデザインは当たり前ですが、元となる型紙や時代にあった仕様変更などアップデートしていかなければ「ただの誂えスーツ」の枠を出ることはできません。
開業当初から念頭に置いている「デザインと技術の融合」は、進化することを前提とし確立したオーダースーツブランドを作り上げるという大きな目標があっての事で、今までも3度のアップデート繰り返しより本格的な。作りにこだわった、何よりも”カッコイイ”オーダースーツを提供するため変化してきました。
単純に見た目を変えるだけであればサイズバランスやデザイン変更だけでもできますが、その変更が全体的な作りとのバランスが合っているかいうとそうではありません。
この度のアップデートはより体のラインにスーツを近づけ、全体的なバランスを整える事を重視した仕様変更となります。
裁断にしても縫製にしても直線的なラインをより曲線的に、身体自体が持つ美しさを最大限に表現し魅力的なシルエットを作り上げる本来の「仕立て」が持つ”深み”を体現する仕様なのです。
-----目次 【本記事の内容】
少し抽象的なご説明でしたのでわかりやすい変更点・アップデートしたところを具体的に説明いたします。
お持ちのジャケットと見比べてみてください。
衿裏ヒゲ
上襟裏側に折り返し縫われている通称「ヒゲ」。
仕立てにこだわったスーツの指標としてチェックされるディテールでもありますが、デザインとして付けられたものではなく襟ハネを抑え、身頃に襟が吸い付くように生地を巻き縫われているのです。
「ヒゲ」は流れ作業的にできるものではなく丁寧なアイロンワークや芯据えなどがあっての仕立てになるため、より手の込んだスーツとして見られるということなのです。
"ヒゲ"のないスーツに比べ、肩から首にかけての美しい「のぼり」が作れるということなのです。
本バス毛芯仕様
毛芯の中でも馬の尾毛を使用した本バス毛芯は、適度なハリと堅牢性、そして優れた通気性を合わせ持ち、芯地素材の中でも最高級品と呼ばれています。
その最高級芯地を惜しげもなく全面に使用したフル毛芯仕様としておりますが、あまりハードなものですとジャケット自体の重量も増し、あまり着心地の良いものとは言えませんのでソフトな仕立てで重さを軽減しております。もちろんお好みによってアップチャージなしでハードな芯地もお選び頂けます。また、ジャケットによっては*フェルトなしの本馬芯のみの仕様や一枚仕立てなど*芯なしの仕様も承ります。(*オプション)
ハリがあるからこそ生まれる立体的な胸元と大きく綺麗にカーブするラペルを作り、
その美しさを長く保つ役割があります。
台場仕様
今では装飾的な意味でのデザイン、ひと手間かけた高級仕立ての代名詞として使われるディテールですが、一昔前までは裏地を張り替える時などにデザインに干渉しないようにする仕立てと意味を持っていました。
今では、裏地が劣化しダメになることもほとんど無くなりました。
台場仕様が今でも高級仕様として言われているのは、裏地よりも高級な表地を贅沢に使うといったことから言われているのかと思います。
*R台場はオプションとなります。
Vスリット
パンツウエスト部の切れ込みをVスリットと言いますが、座った時などの「ゆとり設計」です。
丁寧に作り込まれたパンツには、動きに対する機能的ディテールが装備されています。「V」に割れているものもございますが切れ込みを入れている形からすると「I型」ですのでIスリットとも言われます。
着席時など屈んだ時に切れ込みが開き「ゆとり」となるのです。
特急納期
お問い合わせの中には「お急ぎ」のお仕上げを希望されるお客様もいらっしゃいます。
今まではなるべく早めにと言ってお願いしていたものをしっかりとした納期とともにお渡しできるようオプションとしてご用意しました。
ただ”何週間でお渡し”というわけではなく通常の納期から1週間〜2週間早めるといった事で、繁忙期と閑散期によってお渡しまでの期間が変わりますのでご注意ください。
また、ご注文時にお問い合わせいただいても即座にお答えする事が出来ませんのでお問い合わせの際にお申し付けください。
中身(作り)にこだわり、着心地やシルエットを追求していくと見える部分(ディテール)として変化が生まれます。「内に秘めたる想いが溢れ出ている」とでも言いましょうか。
一見、ただのデザインに見える仕様であってもオーダースーツにとっては大きな変化が生まれていると言う事なのです。
あながち”ディテール”でスーツの良し悪しを見極めるというのも間違いではないかもしれませんが・・・
きっと皆様が思う「仕立ての良さ」は綺麗な縫い目や糸が綺麗に処理され、いわゆる上記のようなディテールが装備されているかだと思いますが、まっすぐ規則的に縫われていたり、パリッとした見た目ほど違和感を感じて欲しいところなのです。
人の温もりなど作り手の思いが伝わって来るものほど「仕立ての良いスーツ」なのでは?と私が感じているところなのです。
そんなオーダースーツを知っていただきたい。着ていただきたいという思いでいっぱいのオーダースーツなのです。
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